海洋プラスチック問題について -わたしたちができること- Vol.3

前回のコラムでは海洋プラスチックごみが海の生き物たちにどのような影響を与えているか、その現状をお伝えしました。今回はそのマイクロプラスチックが海だけの問題ではないということ、健康への影響について解説いたします。

マイクロプラスチックは海だけの問題ではない

隠れた危険性について

マイクロプラスチックは、長年にわたり海洋環境での汚染として知られ、有害物質を吸着する特性があるため、海の生物や生態系への悪影響が強く懸念されてきました。 これらの微小なプラスチック粒子は、化学物質や重金属といった有害物質を帯びることがあり、水中の生物に摂取されることで食物連鎖を通じて広がる危険性があります。

見えない侵略者

しかしながら、最近の研究では、マイクロプラスチックが私たちの想像を超えて多様な環境に広がっていることが明らかになっています。それは海だけでなく、大気中や降雨によっても運ばれ、さらには山岳地帯からも発見されているのです。

フランスとイギリスの研究グループが、ピレネー山脈の標高1,400メートル付近で5か月にわたって大気中の粉じんを集めたところ、1日平均でフィルター1平方メートル当たり365個のマイクロプラスチックが検出されたそうです。

これらの微細な粒子は空気中に浮遊し、雨水に混じって地表に降り、山間部や都市部を問わずさまざまな場所に広がっています。

私たちはプラスチックを食べている!?

また、食品を通じての摂取も無視できない問題です。市場で売られている魚介類を始め、多くの食品がこれらのプラスチック粒子を含んでいる可能性があります。日常的に口にするさまざまな物からマイクロプラスチックが検出されており、その摂取量は想像以上に多いかもしれません。

具体的には、1ヶ月でレゴブロック1個分、1年には消防隊員のヘルメット1個分のマイクロプラスチックを摂取していると推計されています。

このような広範囲にわたるマイクロプラスチックの存在は、ただちに解決策を見つけ出す必要がある緊急の環境問題として、私たちの注意を促しています。地球環境はもちろん、私たち自身の健康を守るためにも、マイクロプラスチックに対する国際的な研究と規制の強化が急務です。私たちの未来と子どもたちの未来が、この見えない脅威によって脅かされているのです。

次回に続く>>