美術家 長坂真護氏のギャラリー訪問レポート

皆さんは電子機器の墓場を知っていますか。 日頃愛用している携帯電話やパソコンが廃棄されたあと、どのようになっているか想像したことはありますか。

ガーナの首都アクラ近くに、世界最大級の『電子機器の墓場』とも言われているアグボグブロシーというスラム街がある。

ここでは先進国が捨てた電子機器から、銅などの貴金属を取り出すため、現地の人々が必死に燃やし、わずか日当500円という低賃金の中で生活を続けている。

電子機器を燃やすことで発生した温室効果ガスはオゾン層破壊など環境破壊につながり、燃やすことで発生する有毒ガス(水銀やヒ素など)を吸い込んだことが原因で、作業員は皮膚疾患や肝臓障害などの病気になり、30代で命を落とす方が後を絶たない。

この現状を見た美術家、長坂真護氏は、アートの力で、この事実を先進国に伝え続けている。

長坂真護の作品が展示されているギャラリーは、日本だけでなく、ニューヨークやパリなど11か所にあり、そのうち岡山県倉敷市にある【MAGO GALLERY KURASHIKI(マゴギャラリークラシキ)】へ先日、訪れた。

彼の作品は、色が多く使われ、一見すると楽しい印象だが、その作中には捨てられた電子機器が使われており、考えさせられる場面が多々あった。

捨てられた電子機器を作品に取り入れることでアグボグブロシーの現状を伝えたい、という長坂真護氏の気持ちが痛いほど伝わってきた。

長坂真護氏は、作品の売上でガスマスクを購入し、アグボグブロシーへ届けるという、事業を行っている。既に1000個以上のガスマスクを届け、有毒ガスの驚異から、多くの現地の人々を護っているのだ。

そんな長坂真護氏の多数の作品が9月10日(土)~11月6日(日)まで上野の森美術館で展覧される予定だ。

2030年までに資金を集め、アグボグブロシーにリサイクル工場の建設し、新たな雇用を生み出すこと目標としている彼に、弊社としても何かしら協力していきたいと思っている。

MAGO GALLERY KURASHIKI(マゴギャラリークラシキ)の展示作品

長坂真護展 Still A “BLACK”STAR
Nagasaka Mago Exhibition 「Still A ”BLACK”STAR」

場所  :上野の森美術館
展示期間:2022年9月10日(土)~11月6日(日)
概要  :

投棄された廃材を用いて作品を制作し、ガーナのスラム街再生プロジェクトを進めるアーティスト・長坂真護。 このたびの展覧会は、自身初となる美術館での個展開催となります。

”世界最大級の電子機器の墓場”と呼ばれるガーナのスラム街・アグボグブロシーで長坂が直面したのは、日本を含む先進国から出される廃材を必死に燃やし、わずかな日当で生きている人々の姿、そして、そこに発生する大量のガスによって彼らがおよそ30代で亡くなっているという現状でした。

「我々の豊かな生活は、このスラム街の人々の犠牲のもとに成り立っている」という不条理な現実を、アートの力を使って先進国へ伝えることを決意した長坂。 会場では世界平和への願いを込めた、さまざまな作品を展示します。
(上野の森美術館 展示のご案内ページより抜粋)

【長坂真護氏のリサイクル事業 最新TOICS】

  • 2021年12月に約700平米の工場用地を取得
  • ガーナのスラム街から4名を雇用し、E-Wasteの回収作業を開始
  • 2022年7月に破砕機が導入され、E-Wasteの破砕・粉砕作業を開始
  • 2022年8月に第一弾となる破砕プラスチックを日本に空輸完了
  • 2022年9月に破砕プラスチックを活用したプロダクトの初売上が計上予定
  • 2025年までに100名雇用、2030年までに1万人雇用を目標に活動を実施

(ガーナでの事業は、リサイクル事業以外に農業とEV事業を展開中)