クローズドループの核心は“三つの要素”—フォーラム司会が見たリアルな舞台裏

今回も本コラムをお読み頂き誠にありがとうございます。日本シーム 岩渕でございます。

11月25日から26日にかけて浜松にて開催いたしました「Closed Loop Recycle Forum 2025」は、おかげさまで大盛況のうちに幕を閉じました。本フォーラムは私たち日本シームにとって初めて主催する大規模な専門フォーラムでございました。初開催ということもあり、どれほどの関心をお寄せいただけるのか不安もありましたが、蓋を開けてみれば予想を上回る多くのお客様にお越しいただき、会場には常に活発な議論と前向きな熱量が満ちていました。本フォーラムを開催できたことを、主催の一員として、そして当日の司会として大変うれしく感じています。

初開催「Closed Loop Recycle Forum 2025」で感じた業界の熱と可能性

本フォーラムでは、日欧合わせ12名の多様な専門分野を持つゲストスピーカーをお迎えし、日本の循環型社会の形成に向けてそれぞれの見地からお話をいただきました。会期中、非常に印象に残りましたのは、ゲストスピーカー・ご参加の皆様の双方から、クローズドループの実現に向け難題に真正面から向き合う情熱をひしひしと感じたことです。どの講演においても、質疑応答では自然と「量」「質」「出口」という三つのテーマに議論が集中していました。これは偶然ではなく、業界が今まさに抱えている核心的な課題が、この三つの領域に集約されているという表れだと感じています(筆者自身が司会だったため、このコラムが司会視点になりますことをお許しください)。

共通課題は「量・質・出口」——三位一体で考える時代へ

まず「量」について、原料となる廃プラスチックの量をどう確保するかという課題は、クローズドループの第一段階でありながら議論の中心に据えられる難しいテーマだと思います。これは単なる回収量の拡大というレベルではなく、どの段階で、どのような素材を、どの品質状態で回収すべきかという、より精緻な議論へフェーズが移りつつあることが印象的でした。ご参加の皆様の多くから、物流や製品設計、さらに消費段階での分別行動まで視野に入れた質問が寄せられていました。量の問題は単独で解決されるものではなく、社会全体が一体となって仕組みをつくる必要があるという認識が広く共有され、また未だ非常に難しいテーマであり続けているのだと感じました。

次に「質」に関する議論です。再生材の品質は原料のばらつきに大きく左右されるため、一般に不安定だと語られがちです。しかし今回のフォーラムでは、「不均一性をどう是正するか」という議論だけでなく、「そもそも、そのばらつきを前提にどう設計し、どう使いこなすか」という視点が多く見られたように思います。現場で求められる品質要件をどう整理するか、逆に要求仕様の側をどう柔軟にできるかといったご質問も多く、再生材の可能性を最大化するための新しいアプローチが少しずつ芽生えつつあるように感じられました。

そして「出口」、すなわち再生材の用途についての議論は、今回最も熱を帯びていたといっても過言ではないように思います。再生材を再び製品として市場に戻す際、単にバージンの代替材として「かさ増し」的に使うだけでは循環の輪は閉じません。クローズドループを名乗る以上、同等品や同機能への循環がどれほど設計できるかが問われます。いただいた質問の多くから「出口をつくる側の意識が変わらなければ、循環は成立しない」という強い問題意識を感じ取ることができました。つまり、リサイクル工程だけでなく、製品企画や設計、さらには流通の側や消費者の意識にまで踏み込んで初めて“閉じた循環”が成立するという認識が、多くの方の間で共有されつつあると感じたのです。

フォーラム全体を通して私自身が強く感じたのは、クローズドループという概念が、単なる理念的な言葉ではなく、具体的な事業として検討される段階に入っているのだという手応えです。量・質・出口の三つの課題は、それぞれが互いに影響し合う複雑なテーマですが、これらを分断することなく、同じテーブルで議論されていたことを非常に心強く感じました。

クローズドループ実現に向けた“共創の場”としてのフォーラム

今回のフォーラムを終えて改めて思いますのは、クローズドループの実現は、一社だけの努力では決して到達できないということです。量を集め、質を整え、出口を設計する、どれか一つだけが成熟すればよいわけではなく、むしろ三つをつなぎ合わせる“線”の部分にこそ、これからの価値があると感じています。だからこそ、本フォーラムへ業界の垣根を越えて多くの方々にご参加いただいたことを本当に嬉しく思うのです。

初開催だからこそ見えた課題や気づきも多くありましたが、それらは同時に、次回以降のフォーラムをより実りあるものへと成長させるための大切な材料でもあります。私たち日本シームとしても、業界の皆さまとともに、真の循環社会に向けた取り組みを着実に積み重ねていきたいと考えています。来年も乞うご期待!